住民名簿 - 親世代

ジグムント・バザン・ガルディオス(ジグ) 「ユージェニー、君を信じている」
マルクト帝国貴族ガルディオス伯爵にしてホド島領主。二つ名は「鼠の王」。 マリィベル・ラダンとガイラルディア・ガランの父親。姉ユリアナはダアトのシェレクハルト家に嫁いでいる。
剣術、政治的手腕、共に凡才。先代領主である父ジークフレデリカがその両面で非凡な才を発揮したことから、内外よりそう比較される傾向にある。
本質的に不器用な人間で、自分でもそれを自覚している。表情、感情の表現も上手くはなく、これまで身近でなかった恋愛や嫉妬といった感情をもて余すことも。表情の変化は僅かなもので、常に身近にいる者でなくては分からないが、感情自体は非常に豊かである。自分の頭の中で物事を深く、ゆっくりと考えている。なのに口下手だが、とっさに出る言葉は天然タラシである。
領主の責務のひとつである事務仕事に当たる時も、要領はそう良くない。ながら作業のできない男。根気や集中力はあるのだが、マイペースで凝り性の性格が災いしている様子。責任感が強い反面、プレッシャーに弱い。そのため、一休みと称して職務の合間に屋敷を抜け出してホドを歩きまわったり昼寝していたりする。その度にヴェルフェディリオがホドを駆けずり回るはめになるのだが、ホドを出歩くことで島民にくまなく目を配れている面があるのでただのサボリではない。
繊細で、感受性が非常に豊か。母の影響で仕事合間にポエムを綴っているとか。他にも卓上旅行、音機関の収集と趣味が多彩。
ホドの誰よりも、ホドとホドの民を愛し愛されている。島民の名前を全て覚えていて、出歩く度に親しげに言葉を交わす。ホドを出て行った元島民も、その例外ではない。

ユージェニーがホドに来た当初は、ホドを守らなければという焦りとホドの人間として受け入れてやりたい気持ちに折り合いをつけられず彼女を強く跳ね退けた。だが、ホドに歩み寄ろうとしたユージェニーを見て、ユージェニーの抱える重荷ごと彼女を受け入れ、愛すると決めてからは、島民から微笑ましくあるいは苦笑されるくらいの万年バカップルっぷりを披露している。


ユージェニー・セシル・ガルディオス(ユー) 「あなたが殺すの。あなたが私を殺すことを選ぶの。決められたことですって?私は許さない、あなたがすることから逃げるのを、許さない」
キムラスカ・ランバルディア王国貴族セシル家令嬢。ガルディオス伯爵夫人。マリィベル・ラダンとガイラルディア・ガランの母親。姉ジャクリーヌが王都バチカルにいる。
ホドへやってきた当初は人形のような女性だった。キムラスカでもそれは変わらず、仮面を被ったようにして生きてきた。ただ一人の前ではその仮面を外したという。
その本質は背中を丸め縮こまる、臆病で気弱な少女。周囲の期待に応えたいと被ったのが上述の仮面だが、ホドに受け入れられそれを外してからもその欲求は残っている。自分に自信が持てず、自己主張が弱い。
ぽややんとしていて傍から見ていると非常に危なっかしい。天然といえるのかもしれない。だが、ホドに馴染んでいくにつれて少しずつ自信を身につけていっているようだ。
キムラスカにいた頃から読書家。ホドにやって来てからも、ホド唯一の図書館である封印図書館の常連である。ジャンルを問わず量を読みこむため、非常に博識。ふとした時にそれを披露し、賞賛を受けても、謙遜の姿勢を崩さない。
また、貴族令嬢としての常識や経験が欠落している点があり、初対面のセクエンツィアと一気に打ち解けたのもそのため。貴族らしからぬほんわかとした雰囲気は島民からも愛され慕われている。伯爵邸の庭で宴会の席を設け島民を招くこともしばしば。
趣味はお菓子作り。初めは厨房務めの面々もヒヤヒヤの拙い手つきであったが、今はもとの勤勉な性格も相俟ってお抱えの菓子職人も認める腕前らしい。
母は「鬼」と呼ばれたキムラスカの軍人。「鬼」の血が自分の中に流れていることを自覚し、密かに恐怖している。

ホドに来た当初、ジグムントにこれでもかという位に跳ね除けられたことにショックを受け、セクエンツィアに励まされる。以来彼女には実家での呼び名であった「ユー」と呼ばれ親友となる。
ホド島の人々と彼らを愛するジグムントを愛し、ユージェニー・セシル・ガルディオスとして生きることを選んだ。以来、停滞期知らずのバカップルである。


ヴェルフェディリオ・ラファ・フェンデ(ヴェリオ) 「『栄光を掴む者』よ、これから生まれてくる俺の息子よ。俺はこの生をお前を、お前たちを守るために費やそう。それが、俺のせめてもの償いだ」
フェンデ家当主。ガルディオスの『剣』にして右の騎士。ヴァンデスデルカ・ムストとメシュティアリカ・アウラの父親。一人っ子。
フェンデ史上、そしてホド最強と呼ばれる譜力の持ち主。マルクト・キムラスカ・ダアト三国にその名を轟かせ、畏怖を込めて呼ばれる二つ名は「神の右手」。その力はガルディオス旗下、また帝国軍旗下で存分に発揮される。
のらりくらりとして捉ええどころがなく、軽薄な人間と思われがちだが、非常に敬虔で厳格なユリア・ジュエとその預言の信仰者である。公式非公式の場に関わらずルールを守ることを重視し、そこから外れることを恐れる。主従関係、上下関係もそのルールのひとつ。ただし、幼馴染のジグムントにはしばしば適用されない。
無意識下では預言というレールの引かれた未来に悲観的、かつ諦観的である。安定しているように見えて、その実迷い続けている。
性格的にはコミュニケーション大好き。人に触れたい優しくしたい。世話を焼くのも大好き。その気持ちを、レヴァーテインという従えるべき立場のセクエンツィアにも多分に抱いていたことに気付いたのは最近。
趣味は料理。それに限らず、大抵のことはソツなく平均以上にこなす。挫折を知らない男。
女遊びは結構激しい。だが、ホド内でやるとすぐジグムントにバレるため、本土で好き放題?しているらしい。それをマルクト側にも把握されていて、軍事的な協力を求める席で高級娼婦らを侍らされているのにはさすがに苦笑もの。だが据え膳は食う男である。

セクエンツィアが兄に代わってレヴァーテインの任に着いた時から、カンタビレの人間にあるまじき人間らしさをもつ彼女に淡く惹かれていた。長く自分の抱いている想いを気付かず、あるいは見て見ぬふりをしてきたが、最後は実家に頭下げに行ってゴールイン。
親世代の中で、唯一秘預言を知っていた。


セクエンツィア・アドニス・フェンデ(セツィ、セクエ) 「忘れていいんだよ。わたしの、わたしたちの歌を、忘れていいの。この歌はね、あなたに寄り添うためにあるんだよ」
フェンデ家夫人。ヴァンデスデルカ・ムストとメシュティアリカ・アウラの母親。兄レクエラート、姉キリエは双子で、共にフェレス島の実家にいる。
ヴェルフェディリオの従騎士「レヴァーテイン」。フェンデ当主に直接付き従う役目の第4席についている。であるが、精神年齢はかなり幼め。物心つく前から生家のカンタビレ=ダアト家でレヴァーテインになるための徹底的な戦闘訓練を受けたためである。それでも心が死なずに済んだのは姉のキリエが人間らしく接してくれたから。
ホドにやって来るまでフェレス島は愚か実家から出たことも滅多になかったため、かなりの世間知らずで一般的な常識が欠落している。そのため、好奇心旺盛で新しいものを恐れない。迷っていることに気付かないタイプの方向音痴。その癖、自信たっぷりで案内しているつもりだから性質が悪い。帰り道で寄り道・遠回りする癖がある。
また、実家やフェレス島に特別な思い入れは少なく、むしろホドへの愛着が強い。ヴェルフェディリオは勿論、何くれとなく妹のように気にかけてくれるジグムントを慕っている。自分を必要としてくれる人々に応えたくて、一生懸命努力する。
基本的に家庭的なことはやってこなかったため苦手。例外は姉から教わった裁縫。偶に台所をこげこげにしたり洗濯物を地面にぶちまけたりして泣きそうになっている。でも泣かない。絶対に泣かない。強い子。
同じくレヴァーテインで先任の第4席であった兄は憧れの人。従騎士としての理想でもあるようだが、どう見ても背伸びしすぎである。

ユージェニーがホドに来た当初彼女を励ましたのが切欠で、以来肉親にしか呼ばれない「セクエ」と呼ばれ親友となる。
負傷のためにホドを去った兄の後任としてヴェルフェディリオに仕えるうちに、彼に惹かれ、従騎士として必要とされるだけで満足できなくなる。一時はレヴァーテインを辞めかけるが、ヴェルフェディリオと気持ちを確認し合い、結ばれた。


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