薄暗い部屋の中が、一瞬ぴしゃりと照らされる。随分近くに落ちたようだ。震え上がるような轟音が耳に飛び込んでくる。窓の外は、叩きつけるような雨。どぉん。ひとつ瞬きする 間だけ、俺の泣きべそかいた顔があらわれた。ほらまた、空からひかりが降ってくる。
 きっとかみさまが怒ってるんだ、とぼんやり思った。立ちつくす俺の頭のなかが、すっと冷やされたように明瞭になる。俺の表情は、ゆっくりと、絶望をかたちづくる。両手を頭に やってぐしゃぐしゃ掻き乱す。爪を立てて、頭皮に刻みつける。眉間にふかい渓谷のような皺がいくつも、いくつも生まれて、頬に一粒、二粒滴が流れ落ちて、なみだの道筋が出来上がる。  俺は泣いていた。それに気付いたとき、俺は叫ばずにはいられなかった。どかんと大きな音がして、空はまた、怒りの木槌を振り下ろす。照らし出された俺は、罪人だった。首の鉄十字 が、ゆらゆら、揺れていた。俺は家を飛び出した。





 神様、ごめんなさい。
 俺は親父を殺してしまいました。


ハンマーソングと罪業の塔